2012年4月30日月曜日

流血のコンビニエンス

三宮で散々飲んだ帰り道、とぼとぼと歩道を歩いていた時のことです。
いや、かなり酔っていましたので「とぼとぼ」ではなく「ふらふら」です。
目は半分以上ふさがり(元々私の目は人の半分ほどの開口部ですので、この時は一般的な人の1/4以下の開口部に相当すると思います)真っ直ぐに歩いているつもりでも、勝手に右へ左へと足が進み、まさに千鳥足状態だったと思います。
何故か両手は「前へならえ」状態で、人から見ればキョンシー的なスタイルだったと思います。
「ミ、ミズ、ミズクレ」とぼそぼそとつぶやいていたかも知れません。
なぜそう思うのかというと、そのセリフがその時のポージングにまさにピッタリだと思うからです。
10分ほど歩いた時、事件が起こりました。
三宮の歩道には、数多く街灯が立っています。
私はその街灯に全く気付かず、真正面から激突したのです。
額を街灯に強打した私は、その場に真後ろにぶっ倒れ、後頭部を歩道に強打しました。
手は前へならえのままの状態です。
しかしあまりにも酔っていたせいか、たいした痛みも感じず、1~2分そのまま歩道に仰向けの状態で、足を交互に動かしながら倒れていました。
通行人はみんな気付かぬフリをして、チラ見しつつ通り過ぎて行きます。
数分後、私は両手をパタリと地面に落とし、足の動きを止め、大の字となりました。
そして何事も無かったようにムクリと起き上がり、コンビニエンスストアえと向かったのです。
さすがに額が割れるように痛いので、バンドエイドを買おうと思ったのです。
5分ほど歩き、コンビニエンスストアに到着しました。
深夜とはいえ、週末のコンビニエンスは人で溢れていました。
私が入店すると、全員がこちらを凝視しました。
正確に言うと、数人が私を見てギョッとした顔をしたので、それに気付いた周囲の人が皆こちらを凝視したという感じです。全員がピタッと動きを止めていました。
まるで時間が止まったかのように感じるコンビニエンスストア。そんな印象でした。
私は日用品コーナーへ進みながら、ふと窓ガラスにうつった自身の姿に仰天したのです。
額から大量に流血し、顔は真っ赤。ワイシャツも上部は血で赤く染まっています。
その姿を見て初めて、皆がこちらを凝視している意味を理解できたのです。
理解できたと同時に、物凄く恥ずかしくなりました。
「これだけ流血しているのに、バンドエイド1個をレジへ持っていって変に思われないだろうか」
そんな思いが脳裏をよぎります。
しかし今ココで動きをやめるわけにもいきません。
逆にバンドエイドではなく、缶コーヒーやヤンジャンを買うのも変です。
私は何事もなかったかのように、バンドエイド1箱を手に取り、レジへ並びました。
そして精算を済ませると、皆の見守る中、そそくさと店を出たのです。
店を出ても、物凄い人の数の視線を、背中に感じました。
私は迷いましたが、そのまま出口すぐのゴミ箱前へ移動し、バンドエイドを1枚、箱から取り出し、額へ貼ったのです。
血ですぐに剥がれ落ちる事はわかっていましたが、貼るしかなかったのです。