黒い靴下。
基本的に私は黒靴下を履きます。
もうずっと黒靴下を履いています。
黒以外は履かないと決めているわけでもありませんが、黒または黒に近い濃い色の物を好んで履いているのです。
がしかし、黒靴下には副作用があります。
私は長年この副作用に悩まされ続けながら、今もなお黒靴下を履き続けているのです。
私はこれまで、この副作用について誰にも話した事はありません。
ずっと自分の胸の中に留め続けて生きてきたのです。
黒靴下を脱ぐと、必ずといっていいほど黒い毛玉が足裏に大量に付着しています。
これが副作用の正体です。
黒靴下を脱ぐシーン、例えば病院の場合。
白いシーツのベッドに黒靴下を脱いで横たわるように云われ、云われるがまま横たわった際に、シーツにベットリと足裏に付着していた黒い毛玉が付きました。
それを見た時、とても恥ずかしくなった事、今も鮮明に憶えています。
黒靴下を脱ぐシーン、例えば足つぼマッサージの場合。
友人が足つぼのマッサージ店をオープンした際、私にもマッサージをしてくれるというのでやってもらった時の事です。本来なら黒靴下を脱いでから、まず足湯に入って足裏を温め、その後マッサージが始まるのですが、その時は足湯を省略し、すぐにマッサージをしてもらったのです。その時私の足裏を見た友人が言いました。
「きったないなあ」
私は今もこの言葉が脳裏に焼きついています。
それ以来、私は黒靴下の副作用を、自分だけの悩みとして封印し続けて生きてきたのです。
帰宅後すぐにシャワーを浴びる場合を除いて、まずは服を脱ぎそして黒靴下を脱ぎます。
その際、自分の足裏の黒い毛玉が床に付着する事を恐れて、脱いですぐに足裏を洗います。
前面所でハンドソープで洗うのです。
手も同時に洗えますので、一石二鳥であると毎回実感しながら洗うのです。
しかしこの歳になって、果たしてこの抱え続けてきた悩みが、私だけの悩みなのかと思うようになりました。
ひょっとすると同じように悩んでいる人が沢山いるのではないか、そんな風に思えるようになったのです。
そこで勇気を振り絞って、何人かの友人に聞いてみました。
すると皆、恥ずかしがることなく、簡単に同意してくれたのです。
私は、長年ひとりで悩み続けてきた事が馬鹿馬鹿しく思えました。
しかし私ほどに悩んでいる人はいませんでした。
やはり私のように過去の恥ずかしい経験が、トラウマにはなっていないので、あまり気にせずに過ごしているのでしょう。
ひょっとすると、人前で黒靴下を脱ぐ経験があまり無いのかもしれません。
前回もお話致しましたが、私は酔うと靴下を半分脱ぎます。
酔うと靴下を半分脱ぐ行為、半ソックス男である事を告白いたしました。
半分だけ脱ぐのが気持ちいい、そんな風にお伝え致しましたが、実は全部脱ぐと、この黒靴下の副作用が露出してしまう恐怖から、無意識に半分に留めている、そんな可能性も実は否めないのです。
もちろん、黒靴下の素材や足裏の湿度等によって、毛玉の量には変化はあるでしょう。
長年の経験から、黒靴下が安物か高価な物かがそれを左右しているという事もありません。
私と同様に、これまで黒靴下の副作用に悩まされ続けていた皆さん。
これからは皆同じなんだと思ってください。
恥ずかしがる事はありません。
正々堂々と、自信満々に黒靴下を脱ぎましょう。
本日をもって、黒靴下の副作用は、完全に市民権を得たといっても過言ではないのです。
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