2013年2月26日火曜日

嫌われる権力者

誰かと会話をする場合、その相手が何人であろうと、基本的には聞く側が理解できる話をするのが基本となります。
例えば誰か第三者の話をするとしても、聞く側の人が知っている人の事を喋るのが当たり前で、例外として知らない誰かの話をするとしても、それは聞く側が楽しめる内容でないと、非常に苦痛な時間となるわけです。

先日とあるカフェでパソコンを開いて黙々と仕事をしていた時の事です。
隣のテーブルに、中年のキャリアウーマン4人組が座り、仕事の打合せを始めたのです。
別に聞くつもりはありませんでしたが、隣なので嫌でも聞こえてきます。
30分ほど仕事の話でしたが、その後は1人のリーダーらしき女性の個人的な話となりました。
そのリーダーらしき女性は推定40歳、その他の女性達は50歳前後でしょうか、明らかに一番若いその女性は、体格もすごいのですが、べシャリもすごく、場を仕切るいわゆる「仕切り屋」という印象でした。
その女性の話はまさに冒頭で述べた、誰も理解出来ない話なのです。
ほぼそこに居る誰もが知らない第三者の話を事細かに話すのです。
「うちの友達のA子てのがいんの、そのA子がさ、この前夜中に電話よこしたのよ。夜中だよ、えっと金曜だったかな、いや木曜か、歯医者の日だから木曜だな。お風呂入ってさ、深夜番組を見ならがドライヤーしてたのよ、えっと何の番組だったかな、えーっと・・・」
リーダーのどーでもいい話は延々と続きます。
その他の女性達は、リーダーが怖いのか、誰もツッコミを入れる事なく、皆黙って聞いています。
「どないでもえーわ!!!」
と隣で思わずツッコミそうになる話ばかりなのです。
しかもそこは普通省くやろ!というような事細かな部分までをも説明するので話が長くて仕方ありません。
さらに会話の最後にオチすらないのです。
「その話なんのために今したんや」
私は何度も心の中でツッコミを入れました。
ひょっとすると、この仕切り屋が彼女達の会社の上司なのでしょうか、もしそうだとしたら本当に可哀想です。
明らかにコミュニケーション能力に欠けた人が上司だった場合、しかもコミュニケーション能力に欠けているのに仕切り屋だった場合、その下についた人達は本当に不幸と言えます。
こういう人種は、権力を使って人に従わせる事に対して一切の疚しい気持ちを持ち合わせていません。
普通の常識ある人なら、いくら権力を得たとしても、部下にイヤイヤ従われるのは納得がいかないものです。
権力で従わせるのではなく、心から信頼され、部下から従いたいと思ってもらう事こそが本望ではないでしょうか。
権力を得たのだから、自分が一番偉いとでも思っているのでしょうか。
それは大きな勘違いです。
会社組織で言うと社長が一番権力を持っています。
ではその権力をもっている社長が一番偉いのでしょうか?
自分が一番偉いからと部下の話に耳を傾けないワンマン社長は、部下から「社長に何を言っても無駄なので言わない」と思われています。「失敗しても社長が損するのだから勝手にしたらいい」とも思われているのです。
そんな会社が成長するはずがありません。

こういう上司の愚痴は、飲みの席では必ずといっていいほど聞こえてきます。

飲みの席での上司の話が長い。
上司の話がおもんない。
上司が偉そうにする。
上司の武勇伝を聞くのが辛い。
上司の自慢話が長い。
上司にペコペコしないと風当たりがきつくなる。

どれもほぼ毎日繁華街で聞こえてくる部下達の愚痴です。
だからだんだんと上司との飲みの席は敬遠されるようになったのだと思います。
人は誰でも一緒にいて面白い、一緒にいて楽しい人と居たいものです。
それが上司と部下だろうが、年齢差があろうが関係ないのです。

コミュニケーション能力とは、聞く側の気持ちになって喋る事です。そして聞く側は、喋る人の気持ちになって聞く事です。
この二つを心がけていれば、きっと素晴らしい人間関係が築けるはずです。
何事も相手の気持ちになって考える。これが大事なのです。