2012年12月14日金曜日

止まらないトイレット

とある雑居ビルでトイレに入った時の事です。
12月の寒い時期だったという事もあったのですが、そのトイレは何かうす暗く、特に隙間風が入ってくる訳でもないのですが、とても寒い、底冷えのする洋式のトイレでした。
しかし個室に入ってみると、ウォシュレットも付いていましたし、便座ウォーマーだってありました。
私は「ヒューッ」と自然と口笛を吹いていました。
この2つがあれば多少寒いのも我慢できます。

最近は贅沢になったのか、ウォシュレットとウォーマーが完備されていないトイレに入ると腹が立ってきます。
「ウォシュレットじゃないトイレなんてトイレじゃない」とさえ感じてしまうほどに、あれは素晴らしい設備です。なんなら和式トイレにもウォシュレットを付けて欲しいと真剣に思います。

用を足して洗浄ボタンを押します。
温かい温水が噴き出します。
水の太さもちょうど良いサイズです。
この水の太さにも好みというものが存在します。太さはとても大切なポイントであると思うのです。
勢いに関しては、ほとんどのウォシュレットで調整が可能ですので、好みの強さに調整できますか、太さは調整ができません。
以前、とある有名芸能人のお宅へお邪魔した際、ウォシュレットの水のサイズが非常に細く、しかも勢いがマックスに調整されていて、思わず「いたぁっっ」と叫んだ事があります。
「あの人こんなんが好みなんや」と関心しました。
私はあまり細いサイズは好みではありません、太めの方が好きなのです。なので水圧をかなり弱くしてその場を乗り切ったのです。

今回のこの雑居ビルのトイレのウォシュレットは、なかなか満足度の高いものであると思った矢先の出来事です、そろそろ温水を停止しようと停止ボタンを押してみるのですが、温水が止まらないのです。
「ん?あれ?」
何度も停止ボタンを押します。
しかしいっこうに温水が止まらないのです。
「え?え?うそやろ?」
全く止まる気配がありません。
それどころか、温水が徐々に冷水に変わってきたのです。
「え?やばい、マジやばい、冷たい」
この冷水のウォシュレットほど精神的肉体的ダメージの大きいものはありません。
ものすごく嫌な気持ちになってきました。
どうしたらこのピンチを乗り越えられるのでしょうか。
このまま立ち上がったらどーなるのでしょうか。スーツに水がかかってずぶ濡れになるのでしょうか、勇気がなくてそれも出来ません。
とにかく停止ボタンを何度も何度も押す事しか私にはできなかったのです。
長時間冷水の当たり続ける感部は、冷えて完全に凍傷状態です。
このままでは感部が壊死してしまいます。
なんとか腰をずらして的を外してはみるのですが、それでも周辺さえも凍傷の可能性があります。
このまま一生ここで冷水を浴び続けなければならないのでしょうか。
そんな人生なんて嫌です。
誰かを呼ぶわけにもいきませんし、とりあえず冷や汗をと脇汗を大量にかきながら、停止ボタンを連打し続けました。

15.8分程が経過したでしょうか、そろそろ感部(臀部)に限界を感じ始めた頃にやっと水が止まりました。
長い長い私とトイレットとの死闘が幕を閉じたのです。

私は「ヒューッ」と自然と口笛を吹いていました。
そして何食わぬ顔をしてトイレを出たのです。