子供の頃、球作りに精を出していた。
裏の畑の土に水分を加え粘土状にし、それを煉って直径5cmほどの球にする。
それをよく乾燥させ、表面を磨くのだ。
煉る時には空気が混入せぬように最新の注意をはらう。
そうする事で、より強靭な球が完成する。
俺が球作りに没頭し始めてから数週間後、近所の後輩や弟がメンバーとして加わった。
俺たちは毎日球作りに没頭した。
いかに硬く強靭でしかも美しい球を作るかに集中したのだ。
目標は畑の土でビー玉のような球を作ること。
弟が裏山の赤土で球を作りたいと申し出てきたが却下した。
勿論赤土の方が粘りがあって良い球が作れるけれど、それでは意味がないと考えたのだ。
あくまでも畑の土にこだわりたかった。
我々は1ヶ月もすると笊で土を漉したり、中心に石を入れたりと、相当な技術進歩を遂げていた。
表面に光沢を出す方法も、かなり試行錯誤した。
布で磨いたり油を加えたり、革で擦ったり。
今思えばかなりの出来栄えだったと思う。
しかしなぜあんなに球作りに没頭したのか、そしていつの間に球作りを辞めたのか、なぜ辞めてしまったのか。
全く思い出せない。
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