23歳の春その事件は起きました。
当時よく遊んでいたアッチャンが友人のT子を連れてうちから帰ったのは深夜1時。
T子は赤穂駅近くに車を停めて、アッチャンの車でうちに遊びに来ていました。
アッチャンはT子を赤穂駅まで送り届けて帰る予定だったのです。
深夜2時、アッチャンからのコール
「もしもし、T子が車のキー忘れたみたいやねん」
俺は風邪気味だったけれど、忘れもののキーを持って待ち合わせの赤穂まで行く事にしました。
それは買ったばかりのルノーに乗りたいという気持ちがあったからです。
相生市から赤穂市に抜ける道中にタカトリ峠という峠があります。
もちろん深夜3時前という事もあってすれ違う対向車なんて皆無。
俺は順調に車を走らせていました。
峠の山頂を過ぎ、下りに差し掛かかり大きなカーブを抜けたところで事件は起きました。
な、なんと目の前を人が走ってるのです。
しかも子供か老人!
全身グレーの人?いや、頭が人の倍以上の大きさの得体の知れない何か・・
なんじゃこりゃ!なんなんじゃこりゃ!
しかも道の真ん中をスキップしてるやん!
俺はその得体の知れない人か何かを撥ねそうになって思いっきりハンドルを左にきりました。
ドドーン!
俺は買ったばかりのルノーと一緒に1.5m下へ崖を転落しました。
何が起きたのか理解できないまま俺は反転した車内で硬直。
漏れ出したガソリンの臭いが俺を正気に戻し、慌てて車外へ出る。
そして崖を這いずり上ったところにT子を乗せたアッチャンの車が停車したのです。
「何か嫌な予感がして来てみたんや」とアッチャン。
何か嘘みたいですが、これ全部実話なんです。
その後、アッチャンの車に乗せてもらいT子を送り届けたのでした。
帰りの車内
「アッチャン、実はな、俺宇宙人見てん」
「あはは!宇宙人?夢でも見てたんちゃう?」
当然ですがアッチャンは信じてくれませんでした。
「そか、夢かも・・・」そう思った瞬間でした。
俺たち2人の目の前をさっきの得体の知れない何か(頭が人の倍以上の大きさで全身グレー、耳も無い)が走って(スキップのように)いたのです!
「あ!あれやアッチャン!あれや!」
「うげっ!何じゃありゃ!」
俺たちは全身から汗が噴出し、血相を変えて逃げ帰ったのでした。
怖くて怖くて仕方ありませんでした。
あれはどう考えても人じゃない。
いや、100歩譲って人だとしても深夜3時にあそこを人が走ってることなんて信じられない。
あまりの恐怖に2人で朝まで友人宅数軒へ行き、見たこと全てを話し倒したのです。
でも誰も信じてはくれませんでした。
その1ヶ月後、あの日に訪れてバカにした友人が電話してこう言うのです。
「お、俺も見た!俺も見たんや!宇宙人見たんや!さっきあそこで!」
どうやらあれは本当に宇宙人だったのかも知れません。
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