2016年10月22日土曜日

肩で眠る少女

彼氏の肩へちょこんと頭を乗せて、すやすやと眠る少女がいます。
本当に眠っているのか、それとも甘えているだけなのか、彼とちょっとでもくっつきたいという現れなのか、こっちから見ていてもなんとなく可愛らしい光景といえます。
先日、京成線で成田空港へ向かっている時の事です。
目の前の8人掛けの座席に、偶然にも4組のカップルが座っていたのですが、4組中3組のカップルが彼女がそれぞれ彼の肩へ頭をちょこんと乗せて眠っていたのです。
日本人カップルが2組、韓国人カップルが1組、中国人カップルが1組です。
しかもそれぞれのカップルは、偶然にも右側に彼氏、左側に彼女が座っていますので、こちらから見ると1組を除いて同じポージングなのです。
あと日本人の1組さえ彼女がちょこんとやってくれれば、1座席全員が同じポージングとなるのです。
なんとかしてやってもらいたいのですが、さすがにテレビか何かの取材ならまだしも、ただお揃いを見たいからというだけの理由で、全くの他人からお願いしてやってくれるはずもありませんし、ただ祈る事しかできません。
おそらく、こちら側に座っている人全員が同じ事を思っていたはずです。
「ちょこんとやれ!ちょこんとやれ!」
一心不乱に念を送ります。
「ちょこんとやれ!ちょこんとやれ!」
なかなかちょこんとやってくれません。
「ちょこんとやれ!ちょこんとやれ!」
もしかするとこちら側に座っている見る側8人全員で念を送れば、伝わるのかも知れませんが、さすがにテレビか何かの取材ならまだしも、ただの一般人である私が、お揃いを見たいからという理由だけで一緒に念を送ってくれというわけにもいきません。
またそんな事を8人全員に言うぐらいであれば、本人1人に言った方がよほど早いです。
念を送り始めて10分が経過しました。
まだあの日本人カップルには念が伝わっていないようです。
それどころかペチャクチャと喋っています。
「何をしとんねん!はよちょこんとやれや!!」
だんだんイライラしてきました。
いけませんいけません、イライラしても人は動きません。
私は深い深呼吸をしました。
そして気持ちを落ち着かせ、再び念を送ります。
「ちょこんとやれ!ちょこんとやれ!」
また10分が経過しました。
長時間集中して念を送り続けたからでしょうか、少し息が上がり汗ばんできました。
例のカップルは、彼女が少し喋り疲れたのか、それともこちらの念を感じとったのか、会話をやめ、退屈そうに携帯を触っています。
彼は目を閉じています。
これはそろそろ来そうな予感です。
「ちょこんとやれ!ちょこんとやれ!」
念を送り始めて30分が経過しました。
彼らは2人とも目を閉じています。
私の念を感じとったのか、眠っているのです。
なのにちょこんとはやってくれていません。
もう少しすれば成田へ着いてしまいます。
結局、私の小さな夢は叶わずに到着してしまうのでしょうか。
まぁ、偶然でも目の前の4組全員が同じポージングを取るはずもありませんし、そもそも声を出さずに、いくら強く念じたからといって、思いが伝わるはずもありません。
私が念を送る事をやめようとしたその時です!
彼女は反対側にちょこんとやったのです!
「ちやーーーう!!」
思わず声が出そうになりました。

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