2016年10月22日土曜日

苦しそうな寝顔

京成線で都内から成田へ向かっている時の事です。
目の前の人が物凄く苦しそうに顰めっ面をしているのです。
思い切り両瞼を閉じ、眉間にギュウゥとシワを寄せて、歯を食いしばり、鬼の形相とはこの事を言うのだというぐらいの表情なのです。
その恐ろしい形相に、初めは男性だと思っていましたが、よくよく見ると女性のようです。
身体のどこかが物凄く痛いのでしょうか。
お腹は出ていませんので陣痛ではなさそうです。
頭痛でしょうか。
歯が痛いのでしょうか。
痔が痛いのでしょうか。
それとも必死で排便を我慢しているのでしょうか。
あまりにも苦しそうなので、さすがに何かあったのかと心配して見ておりました。
周囲の何人かもそれに気付き始めています。
だいたいこういう場面では、近くに居た真面目そうな女子高生が声をかけるものです。
これまでにも何人も、電車内でピンチな人を見てきましたが、いつも近くの真面目そうな女子高生が最初に声をかけていました。
今回もどこからか女子高生が現れて、声をかけるのでしょうか。
周囲を見渡すと、それらしき女子高生は乗り合わせていません。
となると、いち早く異変に気付いている私が声をかけるべきなのかもわかりません。
そんな事を考えながら、鬼の形相をチラチラ観察しておりました。
電車が空港第2ビル駅に到着した時、鬼の形相の彼女は、パチッと目を開き、何事もなかったかのように真顔で電車を降りていきました。
「えっっ??うそやろ」
完全に真顔でした。
さっきまでの鬼の形相はなんだったのでしょうか。
ひょっとしたらあれはあの人の普段の寝顔だったのかも知れません。
しかしあんな苦しそうな寝顔の人、可哀想過ぎます。
よくある「気持ちよさそうに寝てたから起こさずに出ました」的な事は、無縁なのだと思います。
ナンマンダブナンマンダブ

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