2011年2月1日火曜日

山ちゃん

山ちゃんが亡くなった。60歳、肺がんだった。
山ちゃんは勝気なおばちゃんで、皆から恐れられていた。
筋の通らない事が大嫌いで、すぐにキレてわめき散らす。顔も怖かったので皆近寄りたがらなかった。
山ちゃんは鉄工所を経営していて、その仕事っぷりは正に男勝りだった。
くわえ煙草で従業員に指示をだす姿はまさにオッサンであった。
みんな山ちゃんが怖かったのだ。
そんな山ちゃんに何故か俺は気に入られていた。
「信用できるんはおまえだけや」
酒の席でよく山ちゃんに言われた。
11月に飲んだ時も、いつもと同じように山ちゃん節が炸裂した。
その席で山ちゃんがタバコを辞めると言った。
その時は何も思わなかったが、その1ヵ月後、山ちゃんは肺がんで入院した。
がんは全身に転移していたのだという。
ひょっとしたら自身の異変に気づいていたのかもしれない。

そして一昨日、山ちゃんは帰らぬ人となった。
通夜そして葬儀に参列したが、今にも山ちゃん節が聞こえてきそうな、そんな遺影が飾ってあった。
最後のお別れの時、棺おけの中には今まで見たことないような穏やかな顔の山ちゃんがいた。
涙が溢れて止まらなかった。

山ちゃん有難う、やすらかに眠ってほしい。

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