2014年8月13日水曜日

ガーリック爺さん

京成線に乗っていますと、とある駅で白髪のお爺さんが走って乗ってきました。
白髪ヘアーは両サイドを刈り上げてあり、ブルーのシャツにブルーの半パン姿です。
私の左側には、少しボリューミーな女性が座っています。
ボリューミーなせいで、通常の1.3倍ほどのスペースを使っておられます。
私は彼女から少しだけ隙間をあけて座っておりました。
先ほどのお爺さんは、駆け足でやってきて、私の右側に無理矢理に腰を下ろしたのです。
私は慌てて左側へ詰めます。
お爺さんは容赦無くこちらへグイグイと詰めてきます。
仕方なく私は左側のボリューミーな女性に体がピタッとくっつくほどに近寄るのです。
近寄るしかないのです。
ボリューミーな女性の左側はドアがあり、ポールがありますので、彼女は身動きが取れません。
私がグイグイくっついて行く事に対して、なすがままになっています。
お爺さんの向こう側には誰も座っていません。
ならばそんなに詰めなくても良いと思うのですが、キッチリと3人目のスペースに座りたいのでしょう。
曲がった事が嫌いな方のようです。
ボリューミーな女性が1.3人分座り、お爺さんは1人分のスペースですから、間に挟まれた私は0.7のスペースに座っている事になります。
お爺さんの右側には誰も座ってないスペースがあるにも関わらず、なぜ私がこんなにも窮屈な思いをしなければならないのでしょうか。
腰を据えると、お爺さんはおもむろにバッグからおむすびを取り出し、ムシャムシャと食べ始めました。
私の右耳のすぐ近くでムシャムシャと食べるのです。
しかもやたらとニンニク臭が漂ってきます。
「このジジイ、相当ニンニク食うてきとるな」
機嫌よく座っていたのに、このお爺さんの登場で、狭いわ臭いわで地獄のような時間帯を過ごす羽目になったのです。
おむすびを完食したお爺さんは、ウトウトと眠りはじめました。
イビキがニンニク臭くて死にそうです。
次の駅に到着した時、お爺さんは飛び起き、電車を走って降りて行きました。
私はホッとして、少し右側へ、ボリューミーな女性と少し距離を開けて座り直します。
出発の時間となり、電車のドアが閉まりかけた瞬間、またお爺さんが走って戻ってきました。
どうやら降りる駅を間違えたようです。
焦った私は、とっさに少し右へ座り直します。
スペースが0.7しかあいていない事を察知したお爺さんは、向かい側の空いている席に座りました。
「勝った」
私は心の中でガッツポーズをしました。