2014年6月7日土曜日

眼鏡

眼鏡をかけてみました。
もう何年も前に阿倍野近鉄で買った眼鏡です。
当時、自分に合う眼鏡を探し続けていた事もあって、様々な眼鏡を購入していました。
10年ぐらい前、ビビッとくる眼鏡と出会え、半年ぐらいは気に入ってかけてはいたのですが、どこかで無くしてしまったのです。
私はすぐに物をなくします。
これまでにも時計は何度となく、お気に入りのライターや指輪など、いくら気に入っていても、すぐになくしてしまうのです。
それから同じような眼鏡を探すのですが、なかなか同じものとは巡り会えず、結局は眼鏡をかけずに生きてきたのです。
そもそもメーカーから検索し、ショップを探せばすぐに見つかるものなのでしょうが、私の探し方はアナログです。
たまたま通りかかって見つけないと嫌なのです。
だから縁がないと巡り会えないわけです。
そんな時に、阿倍野近鉄でなんとなく気に入って買った眼鏡を、たまたま引き出しから見つけたのです。
そして何も考えずにかけてみました。
「えーやん」
当時はそこまで良いとは思わずに、引き出しに入れてしまった眼鏡だったのですが、なぜか今更ですが物凄く良いのです。
物凄くフィットしているのです。
「コラえーわ」
私はそうつぶやくと、この眼鏡をかけて街へ出る事にしました。
街へ出ると様々な友人知人と出くわします。
皆なんて言うでしょうか。
皆がなんて言うのかを想像しながら歩きます。

「いーやんメガネ!似合ってるやん」
「わぁ!メガネ!買ったん?」
「メガネかけることにしたの?」

だいたいこんなもんでしょう。
ほとんどの人がこう言うはずです。
そうこうしていると、1人目の友人にで出くわしました。
ところが彼は一切メガネの話題に触れる事なく、立ち去りました。
1時間以上喋ったのにです。
彼は何も思わないのでしょうか。
「まぁええわ、次や次!」
気にせず歩きはじめます。
すると2人目の友人と出くわしました。
彼もまたメガネの話題は一切しませんでした。
3人目、4人目、5人目、、
誰もメガネ事を言ってくれません。
日が暮れてきましたので、メガネを見せる旅は明日に持ち越しです。
結局この日は述べ14人の人と遭遇しましたが、メガネについて指摘した人はゼロでした。
「どないなっとんねん」

翌日、早朝からまた街を練り歩きます。
2日目は22人の人と出会いました。
この日もメガネについて指摘した人はゼロでした。

翌日は28人と出会い、指摘した人はゼロでした。

結局、一週間が経過し、述べ158人の人と出会いましたが、メガネの事を言った人はいませんでした。

皆なにも思わないのでしょうか。
それともそれだけ顔にフィットしてるから?
しかし私なら一番に指摘します。
そもそもヘアースタイルをかえても何も言わない人達なのです。
メガネをかけたぐらいでは、みんな何も言わないのでしょう。

そしてついにこの日がやってきたのです。メガネをかけてから10日目の出来事でした。

「あれ?メガネ変えた?」
「あはい、」

変えたのではなく、かけたのですが、私はそう答えました。
メガネを変えたように思うのなら、そう思っていただいていいんです。
いちいち、変えたのではなくかけたのですと、言い返す事すらナンセンスに感じます。
それよりも、これまで何も言わない人達にしか出会ってなかったので、この瞬間、長い長いトンネルから抜け出した時のように、パッと目の前が明るくなったように感じました。
そして、その友人と熱い握手をかわしたのです。

調査開始から1ヶ月が経過しました。
述べ786人の人と出会いました。
出会った人達の反応を以下にまとめてみました。

・メガネをかけた事を指摘した人 0人
・メガネを変えたと言った人 7人
・完全スルー 779人

結局はヘアスタイルと同様に、気付かない人が殆どという事です。
それが実情なのです。
いちいち人の顔なんて見てない人ばかりだという事なのです。
そしてメガネをかけていたとしても、それがいつからなのかもわからないし、ひょっとするとメガネをかける状態が、この人にとってデフォルトだったとしたらと考えると、いちい指摘していられないというのが本音でしょう。
しかし、もう何年も付き合いのある人で、頻繁に会っている人でさえも、殆どの人が指摘しなかった事が、今回の調査結果の一番の驚きでした。