2011年4月6日水曜日

大陸

オカンが死んだ時に、それまで聞くことすらなかったオヤジとオカンの出会いから結婚までの話を聞ける機会があった。
数年はオヤジも暗く細く弱弱しくて普通ではない状態だったので、勿論何年か経過して、悲しみが和らいでからの話だ。

オヤジとオカンの出会いは、半分見合いみたいなものだったらしい。
知人からの紹介で、姫路駅前の喫茶店で待ち合わせしたのだとか。
その時オヤジは理由は聞いてないが、1時間以上遅刻してしまったらしい。
けれど文句も言わずチョコンと待っていたオカンに心奪われてしまったという。
当時のオカンの写真を見ると、確かにちっちゃくて可愛らしい。
ファッションもとてもモダンでオシャレである。
その上O型で謙虚、さらに巨乳、そんな女性が文句も言わずに待っていたのだからオヤジが惚れるのもうなずける。
出会った喫茶店は「大陸」だったと聞く。
そんな話を聞いてから、一度でいいからそのお店に行ってみたいとずっと思っていたのだ。
なかなか機会に恵まれなかったけれど、やっとその夢が実現した。











大陸の洋菓子 本店
姫路市綿町110











姫路駅前の商店街「みゆき通」から少し路地を入ったところにその店はあった。
店内はモダンで落ち着いた雰囲気。
「珈琲」とオーダーを告げて席に着いた。
すると珈琲とともにデザートも運ばれてきた。
「えっ?こんなんゆーてないで」
「16時まではデザートつきやねんニーチャン」
かわいらしいオバチャンが言う。
時計を見ると15:58だった。











聞くと創業から64年、1947年の3月にオープンしたらしい。
先代が戦争から帰ってきて、姫路駅前に開業したのだとか。
大陸から戻ったので大陸と名づけたらしい。
オープン当時はバラックのようなお店だったけれど、その後中庭付きのとてもモダンな建物に建て替えられたという。
その当時の絵が描かれた銅版が店内に掲示してあった。











そこには喫茶室のほかに、お見合い室みたいなものも完備されていて、多くのカップルが誕生したらしい。
オヤジとオカンもその1組だったのだ。
オヤジから聞いた話を大陸のオバチャンにも話し、当時を回想した。
その後、大陸はダイエーのオープンと同時にダイエー内へ移転、そして現在の場所に至るという。
沢山の人の思い出の詰まった喫茶店、大陸。
現在は市内に10店舗、これからも多くの人たちの思い出を作っていくのだろう。
いつまでも続いて欲しいお店だ。


■洋菓子の大陸 本店
住所:姫路市綿町110
電話:079-222-0071
営業:7:00~18:00
席数:テーブル38席
交通:JR姫路駅より徒歩10分

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