2015年5月28日木曜日

バスの運転手

熊本空港からJR熊本駅を目指すバスに乗った時の事です。
運転手はとても声が小さく、時折マイクで何かを言うのですが、サッパリ聞き取れません。
滑舌も物凄く悪い人のようです。
まぁ別になにを言っているのかなんて興味がないので、そんな事は気にせず、いつもの通り、PCを開いて映画を見ることにしました。
熊本交通センターに着いた時、結構な数の人が降りていきました。
熊本駅はもうすぐです。
熊本駅でも大勢の人が降りるはずです。
「次降ります」ボタンなど、誰かが押してくれるでしょう。
また私は集中して映画を見ておりました。
ふと頭を上げると、バスは熊本駅を通過しています。
「え?うそやろ」
振り帰るとバス車内には誰も乗っていません。
完全に私1人です。
どうやら交通センターで、私以外の全員が降りたようです。
「ちょ!ちょー!止めてーな」
私はすぐに運転手に言います。
「いえ止められません」
聞き取りにくい小さな声で運転手が答えます。
「止められませんちゃうがな、いまここで止めたらえーねんて」
「いえ、停留所でしか止められません」
「まじめか!止めろや!」
「それは不可能なのです」
「てかいま信号で止まってるやん、降りるわ」
「いいえ、危険です」
「なにが危険やねん」
「もし事故に合われたら」
「なんで止まってるバスから降りるのに事故にあうねや」
この声の小さな運転手は、やたらとまじめなのでしょう。頑なに途中下車を拒否ってきます。停留所以外では降ろしてくれそうもないのです。
「ほならわかったわ、次の停留所てどこやねん」
「5kmほど先になります」
「はあ?そこから歩けと?」
「一応決まりですので」
そんな決まり事なんてどうでもいいわけです。
まず熊本駅の次の停留所は、バスの倉庫的な場所らしいのですが、そもそもそんなところで降りる客がいるはずがないのです。
客は熊本駅で絶対に降りるものなのです。
熊本駅で降りない客は怪しいのです。
寝ているか、映画に夢中になっているかなのです。
なんでそんな基本的な事に気づかないのでしょうか。
わかっているのにストレス発散のために、あえて黙って見逃しているのしょうか。
そして焦った客の顔を見てほくそ笑んでいるのしょう。
そういう事を考えていると、だんだんと腹が立ってきました。
「運転手さんの個人的な意見を聞かせてーな」
「はい?」
「自分が後で歩いて帰る道が、どんどん長くなっているのを、黙って見ている事の虚しさ、理解できんか?」
「いえ、できるんですけども、、」
「できるんけ、理解できるんやな」
「はぁ、まぁ」
「ほなら次の信号でドア開けろや、内緒にしたるから」
「それはできません」
「はあ?どんなけ真面目やねん!」
もうこの運転手は止まる気はさらさらないのでしょう。
何を言っても通じないようです。
「おの、お客さん」
「は?」
「帰り、バスを使われたらいかがでしょうか?」
「は?」
「バスを使われたら楽なのではないのでしょうか?」
「楽かしらんけど、それ自分とこの営業やん、絶対に嫌や」
「そういう意味じゃ、、」
「タダやったら乗ったるわ、なんで金払ろて乗らなあかんねや」
腹が立っているので、何を言われても腹が立ってきます。
結局、運転手は、最終の停留所の何故か少し手前で降ろしてくれました。
最後の最後で少しだけルールを破ったのです。
最後の最後になって結局ルールを破って停留所以外で降ろすのであれば、もっと最初に、こんなところまで来る前に、降ろしてくれても良かったんじゃないのかと、真剣に思いました。
でも彼なりの、精いっぱいのルール破りだったのかも知れません。
彼なりに頑張ってくれたのです。

2 件のコメント:

  1. 自分のミスでいい大人が、人に責任を押し付けて、なおかつずっと残るインターネット上でそれを公開するなんて、どうかと思うのですが。

    バスの運転手さんだって決まりのもとで仕事していたり、運転記録や証拠だって残ったりいろいろあります。

    「まじめか?」とありますが、真面目で仕事している人に対してどうなんでしょうか?

    しかも最後には仕事中のルールを破らせるなんて、それを頑張ってくれたなんて、きちがいともとられてもおかしくない行為と思いました、怖い。

    逆恨や悪口ともとられてもおかしくない、同じような年代が老害と思われるかもしれない文章に悲しくなりました。

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  2. 最近は運転席にドライブレコーダ搭載も当たり前の時代です。
    ルールを破ったことは、後に発覚する可能性もかなり高くなっているでしょう。
    業務上のルールを破って会社から制裁を受けるのはその運転手です。

    そんな事ぐらい社会人として仕事をしていれば分かるはずでしょう。
    相手の立場を考えず、自己中心的すぎる主張をされることは、
    自らの恥をさらしているだけにしか感じません。

    小さなことかもしれませんが、こうした事が公になれば、
    「道路運送法」に定められた届出内容と異なる運行をしたとして、
    事業者側に行政指導などが行われる可能性さえあると思います。


    私がその運転手の立場ならですが、

    貴方がもう少し強い口調で脅すか、胸ぐらでも掴んでくれれば、
    警察に突き出してやれたのに・・・おしかったな。。。

    運転手には何一つ落ち度も負い目もありません。
    そして貴方に反論の余地はない状態です。

    そう思いますね。

    一歩間違えば、強要や脅迫になりかねないギリギリの状況だった思います。

    その運転手がちょっとでも反抗的な態度をみせていたら、
    貴方が冷静さを失って、大きな間違いを犯していた可能性もあると思います。

    運転手さんの冷静で大人な対応に感謝された方が宜しいかと思います。

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