2015年5月28日木曜日

自転車を押す少女

先日、駅からトボトボと歩いて帰宅しておりますと、私の斜め後ろを同じようにトボトボとついてくる女子がいました。
彼女は何故か自転車を押しています。
自転車なんて乗るためのものです。
わざわざ押すぐらいなら、無い方がよっぽど楽です。
もしかしたら私が邪魔で通れないのしょうか?
それはさすがに申し訳ないので、気を利かして道を譲ってみました。
すると彼女は何も言わず、私の少し前を歩き始めたのです。
しかしながら、いまだに自転車はおしています。
「はあ?いつまでおすねん」
ひょっとしたらパンクでもしているのでしょうか、いやチェーンが外れているのかも知れません。
いずれにしても、何らかのトラブルにより、彼女の自転車は操縦不能状態なのでしょう。
そうじゃないと、こんなにいつまでも自転車を押している女子がいるはずがないのです。

それから5分は歩いたでしょうか、彼女はいまだに私の少し前方を自転車を押しながら歩いています。
次の交差点に差し掛かり、急に彼女か立ち止まりました。
「ん?」
すると彼女はおもむろに自転車にまたがり、立ち漕ぎで猛スピードで行ってしまったのです。
「え?え?なんで?」
私は呆気に取られ、その場に立ち尽くしています。
彼女の背中がドンドン小さくなっていきます。
そしてついには見えなくなってしまったのでした。
何のためにここまでずっと押し続けてきたのでしょうか。
そしてなんでここからは立ち漕ぎなのでしょうか。
全く意味がわかりませんでした。
「どないやねん!」
誰もいない夜道、結構大きな声で言ってしまいました。

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