2012年12月5日水曜日

貸切り

先日とある飲食店から相談がありました。
大阪市内にある10卓40席ほどの小さなお店です。
そのお店に、平日の夜、20人の予約が入ったそうです。
飲食店にとって平日夜というのはなかなか苦戦しているところが多く、20人なら常連客様用の席も確保できるので、迷惑がかからないだろうと快く予約を受けたそうです。

ところが予約の時間になると、当初の予定の20人が30人となり、その後もどんどん人が加わり、最終的に40人にまで膨れ上がり、満席となってしまいました。
確かに平日に満席となるのは大変有難い話なのですが、いつも来られる常連客様を通す席がありません。
予約受付時と、ご来店後に何度か席を1つでも開けておいて欲しいとお願いしたそうですが、「俺はそんなん聞いてへん」とキレられ、受け入れてもらえなかったそうです。
案の定、その後ご来店になられた数組のお客様は満席のためにお断りしたそうです。
しかし、その40人のお客様のうち半数の20人程度のお客様が、水でいいとご注文をされなかったらしいのです。
そのお店の平日夜の平均的な売上は5~7万程度、客単価は平均1800円です。
ところがその日の売上は2万だったそうです。
40人のうち20人がお酒なしの食事のみ、客単価1000円弱だったという事になります。
しかも貸切状態であったために、他のお客様は一切お通しできていません。
飲食店は、昨年の実績やここ数ヶ月の動向などを元に平均的な売上を基準にしてスタッフの人数を決定します。食材の仕入れも同じです。
この日は人件費、仕入れ原価ともに完全に赤字となってしまいました。
これは飲食店にとって致命的な現象です。

この団体は、その後も定期的に月1回ご来店になるそうで、どーやって相手を不快にさせず断ればいいのかという相談でした。

話を聞いていると、どーもその団体の関係者が、私の古くからの友人かもしれないと思ったので、早速電話してみる事にしました。
するとやはり関係者だったらしく、事情を説明し、せめて1人1品以上のオーダーをして欲しいと伝言してもらう事にしたのです。
友人は快く引き受けてくれました。
その後すぐに当の本人から私に電話がかかってきました。
少しキレた口調で彼が言います。
「あっこいっつも暇そうにしてるから行ったってんのにどーゆー事なんすか?」
どーやら依頼した友人から怒られ、気を悪くしているようです。
私はもう一度最初から説明致しました。すると
「それはもう俺らにきて欲しくないという事を言いたいわけ?」
「いえいえ、もう一度言いますが、せめて1人1品はオーダーしていただきたいのです」
彼は理解したのかしてないのか、「わかりました」と電話を切りました。
その後はご来店になられてないという事です。
きっと気を悪くされたのでしょう、しかし赤字にまでして受け入れる事はできません。

我々は貸切という事について簡単に考えがちですが、飲食店側のこういった事情についても、ある程度の理解が必要なのです。