2011年6月16日木曜日

本当に正しい歯磨き

これまで、ただなんとなく入れ歯というと、老人のものという遠い他人事として捉えて生きてきました。
歳をとってからの話で今は関係ない、そう思っている人がほとんどだと思います。
入れ歯を入れなければならない状況とは、もちろん歯が無くなってからの話です。
歯がなくなって食べ物を噛めないので仕方なく入れ歯を入れます。
歯が無くなる最も多い原因は、歯周病と虫歯です。
特に50代になると約80%強の人が歯周病によって歯を失います。
虫歯ですべての歯を失ってしまう事は稀ですが、仮に虫歯で歯を失った場合は、まだ歯肉が健康である確率が高いので、歯周病よりも入れ歯が入れやすいのですが、歯周病の場合は歯肉自体がダメな場合が殆どですので、後々やっかいな事になります。
しかし統計的に見ても、総入れ歯の人の大部分が歯周病が原因とされていますので、殆どの人がやっかいな事になると言ってもいいでしょう。

歯周病(歯槽膿漏)の最も大きな原因は「食べカス」です。
食べカスには栄養分がたっぷり含まれていますので、細菌にとっては恰好の栄養源になるというわけです。
歯の周囲に付着する細菌性の歯垢や歯石が、歯肉と歯の根の間の、いわゆるポケットの中に侵入していって、その中で繁殖をくりかえすことによって、歯周病を進行させていきます。

歯周ポケット

















歯周ポケットとは、図のように歯の周囲に存在するポケットです。
健康な人で1~2ミリ、中程度の歯周炎があると3~5ミリ、歯周病が進行した場合は6ミリ以上の深さがあります。
上記のように食べカスがこの歯周ポケットに入り、歯垢や歯石となり細菌が繁殖し、歯周病となるわけです。
この歯周ポケットに食べカスが入らないようにする事は不可能です。歯磨きにより、入った食べカスを除去しなければなりません。しかし毎日の歯磨きでこの歯周ポケットの中までは磨けないのです。
ですから80%以上もの人が入れ歯となるわけです。
歯周ポケットは歯の周囲に存在します。
歯の表側や裏側だけでなく、歯と歯の間にも存在するわけですから、いくら毛先の細い歯ブラシを使用したとしても、完全に除去する事は不可能だということがわかっていただけると思います。
ですから、本当に正しい歯磨きとは、歯周ポケットに入った食べカスを完全に除去する歯磨きという事になるのです。

本当に正しい歯磨き

1、通常の歯磨き
 これは今までどおり、一般的な歯ブラシで歯の表面を磨きます。
 歯磨き粉は使用してもしなくてもあまり関係はありません。(特に大人の場合は)
 















2、歯間ブラシ
 歯と歯の間(隙間)を磨く歯ブラシだと勘違いしてる人が多いようですが、
 歯と歯の間ではなく、歯と歯の間の部分の歯周ポケットを掃除するものです。














 図のように歯と歯の間に差し込みブラッシングします。
 この時、歯の間ではなく、歯1本1本の歯周ポケットを掃除するように行います。
 慣れない場合は出血しますが、慣れれば問題ありません。
 また歯間の隙間サイズによってブラシの太さも多数存在します。















3、ワンタフト歯ブラシ
 仕上げはこのワンタフトを使用し、歯の表側・裏側の歯周ポケットを
 掃除します。
 磨き方は、1本1本丁寧に、奥から手前に同じ方向にブラッシングします。
 ちょうど歯周ポケットのカスを掃きだすような感じです。
 歯1本につき10回~20回、毛先が細いので、歯の表面の真ん中あたりをブラッシング
 すると、ちょうど毛先が曲がって歯周ポケットに届くようになっています。














上記の1~3の工程を真面目に行うと、歯磨きだけで約10分を要します。
子供の頃に歯磨きに10分かけなさいと言われた記憶がありますが、1の一般的な歯ブラシでいくら10分磨いたとしても実は何の効果も得られなかったのです。
要するに時間ではなく、いかに歯周ポケットをキレイに掃除するかが、歯磨きの基本だったわけです。
これを理想を言えば1日3回、毎食後に行うことが正しいでしょう。
3回が無理な場合は朝晩2回、それも無理なら最低でも1日1回は実施する事が、歯周病予防となる事がわかっていただけたと思います。

食べカスが歯石と変化するスピードは、人によって異なりますが、一般的に1週間が経過すると歯石化して歯ブラシでは除去できないと言われています。
歯石化した場合は、歯科医にて歯石取りを行います。
正しい歯磨きを行う前に、一旦歯科医にて歯周ポケットにたまった歯石を完全に除去してから、上記のような正しい歯磨きを行う方が理想的です。
この歯周ポケットに溜まった歯石の除去方法は、1本1本金具にてカキ出す作業となりますので、非常に怖いです。
血まみれになります。もちろん麻酔を行いますが、想像しただけで恐ろしい作業だという事はわかっていただけるはずです。1度アレを経験した人は、もう二度と経験したくないので、上記のような面倒くさい歯磨きを真面目に行うようになるのです。

さらにもっと理想論を言うと、口腔内の細菌数は、就寝時が最も多いわけですから、寝起きにすぐ歯磨きし、また朝食後すぐに歯磨きした方がいいという事になります。
しかしさすがにそれは大変ですので、寝起きはマウスウォッシュなどでうがいし除菌、そして朝食後に正しい歯磨きを行えばいいのではないかと思います。


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