深夜1時、とある店舗で打合せを終え、駐車場に停めてあった車に戻った時のこと。
見ず知らずの1人の若い女性が近寄ってきて、私の顔を見て軽く会釈をし、何事もなかったかのように助手席に乗ってきたのです。
「えっ?なんなん?」
「えっ?」
「人違いちゃうの?」
「えっ?これ◯◯(私の車種名)違います?」
「いや、そーやけど」
「◯◯ですよね?」
「いや確かに◯◯やけど、だれ?」
「えっ?えっ?」
彼女は名乗ることなく、そそくさと車を降りて行きました。
そして向かいにあるコンビニの駐車場の方へ行き、誰かに電話をしているようでした。
一体何だったのでしょう。
デリヘル?テレクラ?ダイヤルQ2?(もう存在しないと思いますが)
しかし気になる点は、私の車の車種を名指しで来ていたという点です。
あたりを見渡しても私と同じ車は停まっていませんし、そもそもここは、とある飲食店の駐車場であって、普段からこんな時間に車など停まってはいないのです。
そうなると、もしデリヘルだった場合、明らかに私の車をターゲットにして、いたずらにデリヘル嬢を呼んだ事になります。
もしくは、単に誰かが私の車を目印にしてデリヘル嬢と待合せをしたのかもわかりません。
気になったので、その場で30分ほど待機する事にしました。
ひょっとしたら、その男が現れるかも知れません。
5分程して、ある若い男性が私の車の脇を通り越して、コンビニへ入って行きました。
見ると、よく知っている24歳の男子です。彼はこの近くのアパートに住んでいます。
彼がデリヘル嬢を呼んだ犯人だったのでしょうか、いやきっとそーです。タイミングがピッタシすぎます。
私は何となく問題が解決したような気がして、心がすうーっとしました。
そして彼を待つ事なく、その場を立ち去ったのです。
それから数ヶ月が経過したある日、その時の彼と会う機会がありました。
もうすっかり忘れかけていたのですが、たまたま彼と私の車の話になったので思い出したのです。
私は思い切って、彼にあの日の事を話しました。
「◯◯チャン、この前デリヘル呼んだやろ」
「えっ?そんなん呼んでませんよ」
「ウソ言いなや、見たもん俺」
「ウソちゃいますて、ホンマですて」
彼はあくまでもそんな事してないと言うのです。そんなん呼んだ事ないと言いきるのです。
私はあの日の一連の出来事を、事細かに彼に説明しました。
しかし彼は、断固として否定します。
「そもそもね、もし呼ぶんなら家に呼びますって」
「あそっか」
「なんでわざわざ人目につく駐車場で待合わせするんすか」
「そらそやな」
私は妙に説得力のある彼の言葉を信用してしまったのです。
確かに、わざわざ駐車場で夜中に待合せをしなくても、彼の家はすぐそこです。
一気にふり出しに戻ってしまいました。
彼が犯人でなければ、一体誰が犯人なのでしょうか。
そもそも最近の出会い系のスタイルを把握できていませんので、どうしてもデリヘル以外に想像ができない(テレクラやダイヤルQ2は消滅したはずですし)のですが、仮にデリヘルだとした場合、もう一つ推理できることは、誰か恨みをもつ者がデリヘル業者にいたずらに客を装って電話をかけたのではないかという仮説です。
それなら納得できます。
がしかし、その程度のいたずらで果たして恨みが晴れるでしょうか。
どーせなら警察に嘘でもいいから通報した方が反撃できます。
24歳の彼が真犯人でなかったという事で、この一件は「世にも不思議な出来事」として迷宮入りしてしまったのです。
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