2011年5月5日木曜日

ねり焼、ぐじゃ焼、どろ焼

兵庫県姫路市に古くから伝わる独特のお好み焼 ねり焼(練り焼)。

●ねり焼レシピ

お好み焼の生地に出汁(スジ肉とこんにゃくを甘辛く炊いたもの)を混ぜたゆるい生地を作り、
鉄板にキャベツとスジコン入りの生地(生地に玉子は入れません)を流し、形を整えます。
形は縦長の楕円(または長方形)です。生地の周囲を整え(中心部は触りません)
その上に天かす・削り節などをふりかけ、ネギを大量にのせます。
コテで鉄板面がパリッと焼けた事を確認したらロールケーキのように手前から丸めて完成です。

昔はこれを新聞紙に包んでテイクアウトしていたといいます。
表面がパリッと香ばしく、中はとろとろの生地とコリッコリのスジ肉のギャップがたまらなく美味しいのです。
また生地に玉子が入ってないので何ともいえないとろみがあります。
最近はこれが食べられるお店も非常に少なくなりました。

ねり焼が今も食べられるお店

●三好(みよし)

















お好み焼 カレー 三好 
住所:姫路市神屋町4丁目80
電話:079-285-4969
営業:12:00~18:00
定休:日祝
席数:カウンター5席、お座敷4席
駐車:4台
交通:JR京口駅から徒歩3分
http://blog.livedoor.jp/h8739/archives/51612388.html


●かんばら

















お好み焼 ぐじゃ焼 かんばら
住所:姫路市土山5-7-22
電話:079-292-3376
営業:18:00~翌04:00
定休:月曜日
席数:テーブル4席、お座敷16席
駐車:5台
交通:JR播磨高岡駅から徒歩20分
http://blog.livedoor.jp/h8739/archives/51005945.html


上記各店のねり焼を見比べていただければわかると思いますが、全く違う代物です。
当時、新聞紙に包んで持ち帰ったという話からすると、上段の三好のねり焼が本来の姿だと思われます。
かんばらのねり焼はパリッとした面が存在せず、どろ焼(下記参照)のように生地を集めて作られています。
共通しているのは、いずれの店舗でも生地に玉子が入っていない事と、「そば入りねり焼」というメニューがある事です。
豚肉やスジ肉以外にも、そば入りというのが昔からポピュラーな商品だった事を連想させます。

そしてねり焼と同様にもう数軒でしか味わえませんが、ぐじゃ焼というものも姫路に古くから存在するお好み焼です。

















これはねり焼同様の生地を集めたものに、最後鉄板に焼きついた皮(生地の焼けたもの)をキレイにはがし、かぶせるという独特のものです。
ぐじゃ焼はここ森下のオバチャンが考案したものです。
考案当時は最後に皮はかぶせてなかったそうです。
森下と上記のかんばら、下記のぐじゃ焼でいただけます。
但し、かんばらのぐじゃ焼は生地の皮はかぶせません。
(かんばらのぐじゃ焼とねり焼の違いは玉子入りか否かという点でしょうか)

ぐじゃ焼き・お好み焼 森下
住所:兵庫県姫路市忍町78
電話:079-281-4591
営業:11:00~20:00
定休:無休
席数:カウンター6席、テラス2席
駐車:なし
交通:山陽姫路駅から徒歩4分
http://blog.livedoor.jp/h8739/archives/50995551.html

この森下で修行したという福崎の「ぐじゃ焼」(店名)では
トマトチーズ焼というねり焼が存在します。

















おそらく店主もこれがねり焼であるという事に気づいておられないと思いますが、
製法はまったく上記のねり焼レシピと同じでした。

ぐじゃ焼
住所:兵庫県神崎郡福崎町西治245-3
電話:0790-22-6339
営業:11:00~14:00、18:00~22:00
定休:木曜日(不定休)
席数:カウンター6席、お座敷8席
駐車:4台
交通:JR福崎駅から徒歩20分
http://blog.livedoor.jp/h8739/archives/51338154.html

そしてもう一つ、どろ焼というお好み焼も存在します。

















ねり焼やぐじゃ焼と大きく異なるのは、生地に玉子が入っているという点です。
そして明石焼のように和風だしにつけていただきます。
和風だしにつけるために、箸ではくずれるのでスプーンでいただきます。
どろ焼は喃風発祥です。
姫路市内9軒を含む全国45店舗の喃風と、姫路市内数軒のお好み焼店でいただけます。

どろ焼き・お好み焼 喃風宮西店
住所:兵庫県姫路市宮西町4-21
電話:079-224-4311
営業:11:30~24:00
定休:無休
席数:124席
駐車:あり
交通:JR京口駅から徒歩15分
http://blog.livedoor.jp/h8739/archives/50375699.html

もともと姫路では生地に出汁を混ぜたやわらかいお好み焼が好んで食べられてきた歴史もあり(姫路焼と総称します)、これに更に輪をかけて出汁の量を増やしたものが、上記のねり焼やぐじゃ焼、どろ焼という事になります。
大阪で一般的な硬いお好み焼を好む人は、姫路市内で食べられるやわらかいお好み焼なんてお好み焼では無いと平気で文句を言いますが、逆に姫路の人は、大阪の硬いお好み焼は、硬い上に出汁の隠し味も入ってないので不味いと思っています。(事実、出汁の有無を考えると、物理的に考えても姫路焼のほうが美味しいのですが)

いずれにしても、ねり焼・ぐじゃ焼・どろ焼は、限られたお店でしか味わえません。
市内どこのお好み焼店でも食べることができる粉物のB級グルメと考えると、出汁入りのお好み焼である姫路焼か、焼そばと焼うどんのミックスであるチャンポン焼、普通に焼そばを焼いてから生地をかける姫路モダンの3品でしょうか。

そもそも姫路の人はお好み焼もモダン焼もこれが普通と思てますし、チャンポンもテレビでやるまでは全国区だと思ってたのです。

是非、こういう食文化は途切れることなく受け継がれていって欲しいものです。
また、ねり焼がいただけるお店の情報もお待ちしております。

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