2016年3月25日金曜日

遅い医院と早い医院

岸和田駅前にレトロモダンな病院をみつけたので入ってみました。
この冬、何度かウィルスに感染しかけては、根性と早めのパブロンで、なんとか免れ続けてきたのですが、ついに完全に感染したのか、発熱悪寒、鼻水、咳、扁桃腺と、典型的な風邪を発症し、パブロンを諦め病院へインしたのです。
待合室には先客が2組、いずれも老人です。
暇そうな町医者といった感じの病院です。
奥から先生らしきオッサンと患者の声が聞こえてきます。
待合室の中にまで、彼らの会話が反響し、完全に聞こえてくるのです。
会話の中身は殆ど世間話です。
患者は2人、地元の老夫婦でしょう。
時折患者の言葉を遮って先生が自慢話しをします。
それが物凄く印象的で「嫌なやっちゃなぁ」と、待合室の人全員が思ったはずです。
いや、みんな常連客ぽいので、先生が自慢しいなのは知っているのかしれません。
しかしなかなか会話が終わりません。
「話長いなしかし」
もうかれこれ30分ぐらいは喋っています。
彼ら(正確に言うと先生のみ)はずっと喋り続けているのです。
私が来た時には既に喋ってましたので、その前何分喋っていたのかわかりませんが、とにかく相当お話好きのようです。
治療なら仕方ありませんが、聞く限りでは老夫婦は治療で訪れたのではなく、今度入院するに当たって、手続きか何かの相談に来たような感じです。
「そのはなし今いらんやろ!」
そう思い、待合室の人を見渡すと、全員が寝ていました。
「寝てんかいっっ!」
寝ているのか死んでいるのかわかりませんが、皆それぐらい老人です。
きっと待つことなんてどうでも良い連中なのでしょう。
誰も文句を言わないのですから、暇つぶしに来ているのかもしれません。
すると奥から中年の看護婦が出てきました。
そして待合室へ来て、こう言うのです。
「急いでる方はおられませんか?」
どうやらこの看護婦はこの今の状況が異常である事を理解し、待ってる人にフォローをしに来たようです。
「お急ぎでしたら処方箋だけでも渡しますよ」
すると待合室の2組共が立ち上がり、処方箋をもらって出て行きました。
完全に薬目当ての常連客だったようです。
そのまま看護婦は治療室へ行き、会話を中断させ、私を案内してくれました。
私だって抗生物質目当てで来たのですが、なんせ新規客です。
先生は、声から想像していたよりも、もっとお爺さんで、私の扁桃腺を確認するために手にした板状のヘラは震えまくり、声を出すように言われましたが、まるで扇風機の前で言っているように「あああああああ」とこだましてしまいす。
次に胸を見ますと聴診器を当ててくるのですが、Tシャツ、Yシャツ、ネクタイ、ベストの上からなのです。
「むちゃくちゃやーん」
背中も見ますと、私を後ろ向きにしたのですが、さらに1枚多いジャケットの上からなので、158%聞こえないはずです。
「先生服の上からやけどわかるん」
「うん、風邪やな」
そう言うと、いくつかの薬を処方してくれました。
処方され薬は、鼻水、咳止め、発熱、抗生物質、うがい薬、トローチ、それぞれ3日分でした。
その後、熊本へ到着し、薬剤師の友人にその薬を見せると
「古っ!」
「えっ?」
「古いわ、20年ぐらい前の薬やん!」
と言われました。
薬にも流行があり、年寄りの先生の場合、こういう時代遅れの薬を処方するのだそうです。

あまり薬の効果も実感出来ないままに3日が経過し、薬がなくなってしまいました。
ちょうどその時に千葉に居ましたので、薬をもらうために駅前の医院に入ってみました。
この医院の先生は若いようです。
ただ、岸和田の時とは全く逆で、診察が異常に早いのです。
次から次へと入った患者が30秒ぐらいで出てきます。
4~5人待っていましたが一瞬のうちに私の順番が来ました。
診察室へ入ると、パソコンに向かったまま私の方を見ようともせずに先生がこう言います。

「どうしました?」
「いやどうやら風邪をひいたみたいで、、」
「症状は?」
「先日まで熱があって、今は熱はないですが鼻水がでます」
「それ花粉症!」
「えっ?」
「はいどうも」
「えっ?終わり?」
「はい」

実際私の診察は20秒でした。はやっっ!!
支払いを済ませ、処方箋を持って薬局へ行きます。すると

「花粉症の薬が1錠出ています。寝る前に飲んでください」
「えっ?寝る前?いま朝やがな」
「はい、先生がそのように書かれてますので」
「ちょ、ほなら夜まで辛いままかいな!」
「まぁそうなりますね」
「はあ?」

結局夜まで待てるはずもなく、ランチを済ませてすぐに薬を飲みました。
花粉症の薬をです。
しかし最近は本当に病院運が悪いようです。
岸和田では遅すぎる病院、千葉では早すぎる病院、両極端の病院をほんの数日で訪問するなんて。
しかしながら、いくらポーズだけだとは言え、岸和田のように色々とやってもらう方が病院へ来たという実感は湧きます。
人なんていい加減なものです。

翌日、なぜか昨日の花粉症の薬が効いたのか、すっかり完治してしまいました。
どないやねん!!!



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