2012年7月13日金曜日

立場

一般社会、特に仕事上に於いて、人にはそれぞれ立場というものがあります。
上司と部下、先輩と後輩、客と店員などなど。
この立場という存在は、非常に不思議なものです。

仕事ができない上司と、できる部下の場合。
できない上司ができる部下に立場を利用して偉そうにものを言います。
なぜ能力の低い人に偉そうに言われなくてはならないのでしょう。
やがてこのできる部下は会社を辞めます。
立場を利用して偉そうにするクズのような人間のせいで、会社は優秀な人材を失う事となります。
ただ単に早く会社に入ったというだけの上司はもう会社には必要ないのです。

先日ある友人から聞いた話。
その彼は、普段店舗にて販売に携わる仕事をしているからこそ、プライベートはクレーマーになるのだと言います。
彼は様々なお店に行っては、アラを見つけて散々文句を言い放つのだそうです。
しかし何のためにそうするのでしょうか。
ただ単にストレス発散に利用しているようにしか思えません。
客という立場を利用して、弱い物いじめをする卑劣な人間にしか見えません。

以前、取引先のメーカーで働いていた人がいました。
彼は私からすれば仕入先の人、彼からすれば私は重要なお客様です。
ところがその後、彼はそのメーカーを退社し、不動産会社に入社したのです。
その不動産会社が、とあるゼネコンに発注した仕事を、私の会社で担当することになりました。
工程会議に出席した私は、いつもの通りゼネコンの担当者に理由もなくえらそうに言われるわけですが、その場に施主として登場したのか彼だったのです。
ゼネコンは業者には意味もなくえらそうにしますが、施主にはペコペコです。
その施主である彼が私にペコペコなのですから、ゼネコンも急に態度を変えペコペコになったという事がありました。
立場が変わっただけでこうも周囲が変化するのかという事を痛烈に感じた瞬間でした。

会社や組織というものは、その人個人の人格や人柄に全く関係なく立場というものを作ります。
立場を手に入れた人は、どんなにいい人でもよほど注意をしておかないと、周囲からチヤホヤされることでだんだんと舞い上がり、つけあがっていくものです。
立場があればあるほどに、下の人には腰を低く丁寧に、そして親切にしなければならないのです。
立場で人を動かすのではなく、人柄で人を動かさなければならないのです。
立場で無理やり人を動かしても、心までは動かせません。
その事に気づかない人は、その企業や団体から外れたときに、はじめて自分が無力である事に気づかされるのです。
どんな立場の人も、その立場でモノを言わず、個人の人柄を磨き、個人としてモノを言う事が重要だと思うのです。