2011年8月23日火曜日

天ぷら

先日、とある天ぷら屋さんに入った時の事。
カウンターに座って、ボーっとしながら、オーダーした天ぷらを手際よく揚げるオバチャンを眺めていました。
すると明らかに天ぷらとオバチャンの手が一緒に油の中へ入っているように見えたのです。
「えっ?えっ??」
思わず声が出そうになりました。
いや見間違えかもわかりません、一般的に天ぷら用の油の温度は180度前後です。そんな中へ手を突っ込んだら158%火傷します。最近目の疲れを感じるようになりましたし、きっと見間違いでしょう。
私は、そのまま又気を取り直して、オバチャンの作業を見守る事にしました。
オバチャンは同僚と雑談しながら、何気ない顔をして、手際よく具材に衣を付け揚げていきます。
今度は、じっくりと手元を確認いたしましたが、やはり具材と一緒に3cmほど油に手先が入っています。
「お、おばちゃん!アツないんかいな!」
思わず声が出てしまいました。
「あはは、アツないねんアツないねん、ありがとな」
なんという事でしょう。
毎回あんなに高温の油に手をつっこんでおいて、なんとも無いなんて、どんなけ皮分厚いねんオバチャン。
確かに以前、プロの職人は油に素手で手を突っ込むという話は聞いた事がありましたが、でもそれはこの道何十年という頑固そうなオッチャンだとずっと思ってましたし。どう見てもこの目の前のオバチャンはパートのオバチャンやと思うので、ちょっとショックを受けたのです。
すると私の元へオバチャンが近寄ってきてこう言うのです。
「あのなニーチャン、自分で突っ込んだ時はアツ無いねんけどな、飛んできた油はアツいねん」
「えー、」
なんと自分の意思で触る油では火傷をしないけれど、自分の意思でない油では火傷をすると言うのです。
そんな事があるのでしょうか。
「ほんまかいな」
「ほんまやで、びっくりするやろ」
どうやら本当の話らしいです。
人間て不思議な能力がまだまだあるんですね。

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